25人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女と一緒に街の裏側を通るように走る。
目的地は唯一つ。
僕が隠れ家として使っている場所。
蔦の絡まる西洋風の建物に辿り着いた。
?「此処……」
『僕の持ち物だから、心配は要らない』
古びた門の横に屈まないと入れない高さの扉がある。
その扉の鍵を開けて、彼女から先に中へ促す。
周囲を確認してから自分も中に入って直ぐに扉の鍵を閉めた。
?「あの……本当に私も一緒に来てよかったんですか?」
『構わないよ。どうせ、僕の他には誰も来ないから』
?「え………?」
『しっ!話の続きは屋敷の中でね』
?「…はい。そうですね」
屋敷の扉の鍵は3つある。
一つ目は、扉の持ち手の左側。
二つ目は、扉の持ち手の真下。
最後の三つ目は、
僕の肉声。
日本で生まれたのに、僕は日本国籍じゃない。
そのせいなのか、僕の肉声は英語でなければ開かれない。
『souta amagasaki ok?』
呪文のように名前を名乗ると、扉が開かれた。
最初のコメントを投稿しよう!