旅の準備と仲間

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汽車とは思えない広さだ。 そんなことを考えながら少女はリュウの後を追っている。 ブンタが残りの説明をリュウに任せたのだ。 窓はあるが外は何も見えない。 真っ暗。 リュウは白い扉の前で立ち止まり、振り向いた。 「ここが君の部屋だよ。さっきのロビーから5番目の部屋」 リュウが扉を開く。 「わぁ」 そこに広がっていたのは白を基調としたお洒落な部屋だった。 「洋服も旅に必要なものも全て揃っていると思うよ。足りないものがあったら言って」 「すごい。何でこんなに揃っているの?」 「自分探しの旅をサポートする列車は1つじゃないんだ。その列車を統率する場所がある。大体はそこから支給されるんだ」 「でも、至れり尽くせりすぎない?」 リュウは少し説明口調になる。 「記憶が無いってすごく不安定になるものなんだよ。だから、出来るだけ不自由させないように配慮しているんだ。君は全く動じてないようだけどね」 そして、リュウはわざと困ったような顔をした。 少女は思わずむっとする。 「こんなとこにいきなり放り込まれて大丈夫な訳ないでしょ!」 とは言わない。 何故って、ただの強がりである。 「だって、不安がったってしょうがないじゃない。泣けば記憶が戻るとでもいうの?」 リュウはすっかり感心してしまった。 さっきのブンタのように。 「君は賢いね。自分が置かれた状況を冷静に判断できる。僕もやり易いよ」 リュウは大きく息を吸い、「さーてと」と軽く弾んだ。 「僕の部屋は隣だよ。説明は僕の部屋でしよう」 少女は再びリュウに続いた。
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