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だが、親は送り迎えなどはしない。
少女に唯一無いもの、それは富。
両親は共働きで少女に構う暇はなかった。
家族で生活するだけで精一杯だったのだ。
少女は家族が大嫌いだった。
自分の家が裕福でない理由に少女は気づいていた。
両親はお人好しなのだ。
少女はこれは賢くない生き方なのだと理解していた。
騙されても尚、生き方を変えず、
地味に働く両親は負け犬だと思えてならなかった。
養ってもらっているくせに生意気な?
少女にそんな説教は通じない。
両親だってそうなのだから。
そして自分もいずれそうなる。
そうして代々、血というものは繋がってゆくのだから。
「ちょっとあんたたち言いたいことあるならはっきり言いなさいよ! このストーカー!!」
少女を守ってくれる唯一の親友、相野愛海(アイノナルミ)
いつも明るく、童顔でかわいらしい顔立ちをしている。髪はショートで活発な印象を受ける。
実は愛海のファンも
少女に劣らず多く存在している。
もちろんストーカーの中には愛海ファンも混じっているのだ。
愛海はいつも少女と一緒にいた。
少女も愛海だけには心を許していた。
本当に愛海だけにである。
裏を返せば、他の友人とは当たり障りのないつき合いしかしていない。その出会いと経緯についてはいずれわかるだろう。
とにかく、この日もいつものようにストーカーを追い払ってくれた親友に今更ありがとうなどとは言わない。
この2人の関係はそんな表面的なものではなかった。
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