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こうしていつも一緒に帰る2人だが、少女はいつもと違う雰囲気を感じていた。
「なる、なんか今日は嫌な予感がする。今後ろにいる人、たぶんやばい」
愛海は「まさかー。考えすぎだよ!」と笑い飛ばすようなことはしない。
危険な目に何度もあった少女の直感は大体当たることを愛海は知っていた。
「どうする?」
聞いた直後、少女の顔を見て愛海はにやりと人の悪い笑みを浮かべた。
その直後、2人は振り返る。
「何かご用ですか?」
あくまでも2人は強気だった。
「……」
男はだんまりを決め込む。
格好は普通だが、帽子で顔が見えない。体格的に勝てる相手だと判断した2人は鞄をおろし、構えた。
2人の美少女から放たれる言葉に出来ない威圧感。
この美少女コンビに男が近づけない理由がここにある。
2人はとても強いのだ。
愛海は空手の全国大会でベスト8、少女は陸上部だが、持ち前の運動神経のおかげか、ただ単に喧嘩が強かった。
男子顔負けである。
見様見真似の空手もなかなか様になっているから驚きだ。
男はそんなこと知る由もない。
バレちゃあしょうがない、とでもいいたげに早速二人に襲いかかる。
なんてマンガじみた展開にはならない。そんなおおっぴらに犯罪を犯すバカはそうはいない。
男はすぐに立ち去った。
が、2人は構えたままだった。
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