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「愛海!!」
少女は全力で愛海の手を引いた。
そして反動で自分が道路へと飛び出す。
少女は死を意識する。
キー!!
ブレーキ音のなか少女は愛海を見つめていた。
少女の唇が確かに「バイバイ、ごめんね」と動いた。
「!!」
どん!
という鈍い音が鳴り響くことはなかった。
愛海はその場で腰を抜かす。
「きえ……た……!?」
確かにトラックに何かが衝突したような音はなかった。
跳ねられてはいない。
しかし、愛海の前から少女は消えている。
後ろの男も消えていた。
「……!?」
愛海はなすすべもなく、自分の親友に何が起こったのかも分からず、ただ立ち尽くし、少女の名を呼ぶことしかできなかった。
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