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『国自隊で学んだ技術なんか、日常生活では必要ありませんでしたからね。世間が私に求めたのは、社交性と協調性でしたから。』
率直な感想だった。現場を離れた私には、国自隊で学んだ全てが邪魔だった。
出る杭は打たれると言う言葉がある様に、人間と言う生き物は秀でた者を尊敬するか、恐れるかのどちらかなのだ。前者であればさしたる問題は無いが、後者は大抵の場合が徹底した差別や排除である。
国自隊のエリートとして過ごした私にとって、日常生活という物は、任務以上に苦痛の連続であった。
そんな思いが、今の生活を作り出したと言っても、過言ではなかった。
『まぁ、立ち話もなんだ。お互いに積もる話もあるが、とりあえず場所を移動しよう。』
そう言うと藤原は、駅前のタクシー乗り場を指差し、私を促した。
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