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『そんなにいきり立つな皆本。こんな山奥まで来たのには、ちゃんとした訳がある。それにもうすぐだ。』
『わかりました。』
『運転手さん、この辺りで結構ですから。』
タクシーが停まったのは、渡月橋の袂だった。
まだ朝方と言う事もあってか、周りには人気は余り無い。一体藤原は、こんな所で何をしようと言うのだ。
『皆本、ここから先はこれで移動する。すまんが、もうしばらく付き合ってくれ。』
そう言って藤原は、屋台船乗り場の方へ歩いていった。
ここに来て私はピンと来た。なぜこんな山奥で、しかも船に乗るのか。確証は無かったが、ある程度の予測はついた。
もし私の予想が外れていなければ、この後藤原は船乗り場にて名前を告げるはずである。
『朝早くからすいません。予約しておいた藤田ですが。』
『あぁ。お待ちしてました。お連れ様は、もう船の中でお待ちですよ。』
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