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『革新党より退陣を要求する声が相次ぎ、保守党の中でもそれに同調する者が増えてきています。』
『そうか…。』
久家はそう答えるしか出来なかった。まさに打つ手無しの状態である。
『皆本君。短い間だったがありがとう。私から総理の肩書が消えるのも時間の問題だ。今の内に解雇しておけば、君ほどの男なら地球政府に睨まれる事もなく、次の総理の秘書として仕える事も可能だろう。こんな不甲斐無い男を、影で支え続けてくれてありがとう。』
『いきなり何をおっしゃるのですか!!あくまで私は、久家総理の第一秘書であって、総理の秘書ではありません。』
『これは正式な決定だ。皆本第一秘書官。君を本日付けで解雇する。』
これは久家の願いだった。これ程の男が消えてしまうのは、余りにも勿体ない。地位や権力が無くとも、彼ならばこの国を変えられるかもしれない。皆本は、そんな淡い期待を抱かせてしまう程の男なのだ。
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