久家 恭一

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『地球政府の軍部です!!内外干渉件を理由に、総理の身柄を拘束させて頂くと…うわぁぁ!!』 警備責任者が話終えぬ内に、電話の向こう側で響く銃声。皆本は威嚇射撃である事を願い、電話を切った。もはや一刻の猶予も無い。 『総理!!地球政府です。奴らは強攻策に打って出た様です。このままでは危険です。今すぐこの場所から避難を!!』 皆本は焦っていた。まさか地球政府が、この様な方法に打って出るとは考えていなかったからだ。 『落ち着け!!皆本元第一秘書官!!君は私が話した事を、理解しているはずだ。今すぐここを去りたまえ。後は全てを君に託す。』 そう言うと久家は、デスクの中から一枚の紙とカードを取り出し、皆本に手渡した。 『これは、私個人が所有する建物の地図とカードキーだ。ひとまずはそこへ迎え。当面の資金と食料、そして私の最後の切り札があるはずだ。』 『しかし総理…。それに最後の切り札とは?』 『説明している時間は無い。地球政府の目的は、私の身柄確保だ。私が捕まれば、奴らは引き上げるはずだ。しかし、君が拘束されない保証も無い。私が奴らの注意を引き付けるから、その間に公用車を使い、裏口から逃げるんだ。』 そこまで言うと、久家は窓へと近寄り、 『地球政府の諸君。君達の目的は私の身柄拘束だろう。私は屋上にて君達を待つ。だからこれ以上、関係無い者を傷付けるな。ここは日本国内だ。私は日本国の首相として、国内における暴動を見過ごす訳にはいかない。』 『久家がいたぞ!!直ちに拘束しろ!!全隊、現状を維持しながら屋上に迎え!!』 官邸中庭より銃器を携えた兵士達が、次々と官邸内へ踏み込んで行く。
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