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――だが,いくら待っても翔は帰って来なかった。
「翔遅いわね~」
おばさん(翔の母)は困ったように時計を見上げた。
既に時計は20時を指していた。
「どうせ,部活が長引いてるんだろう」
おじさん(翔の父)はそう言って箸を手にした。
「そうね。んじゃ~先に食べましょうか。さっ亜季ちゃんも食べて」
おばさんは笑顔でご飯をよそってくれた茶碗を渡してくれた。
「ありがとうございます。」
私も笑ってその茶碗を受け取った。
だけど今日は箸が進まらなかった。
もちろんおばさんの料理はいつも美味しく,この料理が食べれるだけで幸せな気持ちになれた。
でもやっぱり,翔に会えなかったことがとてもショックだった。
学校ではお互い階が違うため,あまり会う機会がない。だけどこうやって夕飯を食べにくればおばさんの美味しい料理と,翔に会える。
これが唯一の楽しみでもあった。
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