1,初恋

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――だが,いくら待っても翔は帰って来なかった。 「翔遅いわね~」 おばさん(翔の母)は困ったように時計を見上げた。 既に時計は20時を指していた。 「どうせ,部活が長引いてるんだろう」 おじさん(翔の父)はそう言って箸を手にした。 「そうね。んじゃ~先に食べましょうか。さっ亜季ちゃんも食べて」 おばさんは笑顔でご飯をよそってくれた茶碗を渡してくれた。 「ありがとうございます。」 私も笑ってその茶碗を受け取った。 だけど今日は箸が進まらなかった。 もちろんおばさんの料理はいつも美味しく,この料理が食べれるだけで幸せな気持ちになれた。 でもやっぱり,翔に会えなかったことがとてもショックだった。 学校ではお互い階が違うため,あまり会う機会がない。だけどこうやって夕飯を食べにくればおばさんの美味しい料理と,翔に会える。 これが唯一の楽しみでもあった。
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