1,初恋

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  「あなたも空が好きなんですか?」 その時,突然どこからか声が聞こえてきた。 キョロキョロと周りを見渡すと,一番遠くのベンチに誰かが腰をかけていることに気づく。 「ぼくは空が好きなんです」 この暗闇のせいで顔はよくわからないが,低い声と体格で男性だということがわかる。 「あなたは…誰ですか!?」 恐る恐る尋ねてみると,その男はゆっくりと腰を上げてこちらに近づいてきた。 相変わらず顔ははっきり見えないが,近づくにつれてスラリとした背丈にスーツを着た男性だということが分かる。 …サラリーマン!? いや…でもこんな時間にこんな所で一人でいるなんて,不審者かもしれない… そう思った瞬間,私は逃げようと思った。 まだ痛むお腹を必死に押さえて腰を上げようとする。 だがその時――!!  
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