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地獄の中心。
血の池地獄までくるとぴたりと立ち止まり、辺りを見回す。
此処で違和感。
鬼男君も感じたようだった。
「誰も、いない…」
「まさか、ほんとに…」
地獄を抜け出すことなど、可能なのだろうか。
大勢の獄卒が見張る中…
「あ、あれ…?」
ふと再び違和感。
亡者達だけでなく、その獄卒達の姿もない。
辺りには、ただ拷問具が転がるのみ。
「ねぇ、鬼男く…」
振り返ると、さっきまで後ろにいたはずの鬼男君の姿がなかった。
気付いたら地獄に俺一人。
「お、鬼男君!!
何処行ったの!?」
もう帰ってしまったのかと慌てて地獄の出口目掛けて走りながら彼を呼んでいたものの、何処からも返事はなかった。
「何処、行っちゃったの?」
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