10人が本棚に入れています
本棚に追加
「っ………」
地獄を出ると急激な不安に襲われた。
だって、何処にも誰かがいる気配がなくなっていたから。
慌てて閻魔庁を出て他の十王の所に向かおうとした刹那―
「みーつけた」
子供の声。
「……!?」
同時に後頭部に衝撃を受け―…
俺はその場に倒れ、視界はだんだん闇に落ちていった…
「よぉー、作業は順調かい?」
「あぁ、問題ない。
今全ての亡者を放り出した所さ」
細身の男と体格のいい男が冥界の端、天の川で談笑していた。
「それにしてもバッカだよなー、コイツもさぁ。
あーんな簡単にひっかかるなんて」
そう言ってケラケラ笑いながら細身の男は地面に倒れる閻魔を踏み付ける。
「おいおい、仮にも冥界の王様なんだぜ?
そんなことしていいのかよ」
「だーいじょうぶ。
俺らにはあのお方がついてる。それより早く終わらせてしまおうぜ」
「あぁ」
体格のいい男は気を失っている閻魔を持ち上げて天の川へと放り投げた。
無抵抗な閻魔の身体はただ現世へと落ちていく。
その様を、黒いローブを纏った男達は怪しい笑みを浮かべながら見ていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!