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「で、何の用?」
手にしていた本から目を離さずに、デスクについている人物が意地悪い口調で言った。
「また何か捜し物? それとも、今までのたまりにたまったツケを返しにでも来たのかい?……ああ、君にそんな甲斐性はないか」
くすっと馬鹿にしたように笑って、読んでいた本のページをめくる。
この意地の悪い主人は、彫刻のような整った顔をややうつむかせて、まったくこちらを見ようとしない。
……まぁ、嫌われているのは知っている。
大男は隠すことなく、盛大にため息を吐いたのであった。
そうして、物語は冒頭へ戻る。
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