彼はいかにして彼を訪ねなくてはならなくなったのか

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「さあさあ、今夜はお祭りだよ! ピエロに空中ブランコ、猛獣使いに驚異の火喰い男も出演するよ!」 呼び込み係が声を張りビラを配り、客を集めて旅芸人たちの興行を盛り立てる。 「火喰い男ねぇ……」 風に飛ばされ落ちたビラを一枚拾い、よれよれのコートを着た大男はボサボサの頭を掻いた。 「今どき、流行らねぇよな」 「流行らなくてもやるしかないだろ。お前にはそれしか芸がないんだし」 そう返したのは、初老の穏やかそうな男性だ。 片手には腕がすっぽり入ってしまうほどの大きさの、繰り人形を抱えている。 「ひでぇな」 「はは、冗談だよ。火吹き火喰いは見た目が派手だからね、まだウケるさ。 俺の人形繰りなんかは、それこそ今日びの子供たちなんぞには受けやしない」 少し寂しそうに抱えた人形を撫でる。 「そろそろ、引退かもな」 「おいおい」 大男は目を見開いて、少し屈んで初老の男性の肩に手を置いた。 「変なこと言うなよ。俺はリーの人形繰り、好きだぜ」 「ああ……そう言ってくれてありがたいよ。 ただ、実際に人気がなくなっちまったら、やっぱり引退するしかないだろうな。この一座に迷惑はかけられない」 .
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