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……が、予想が的中する形で、何も起きてほしくないという私の期待は裏切られることになった。
「なっ!?」
耳をつんざく爆音。続いて地面が揺れる。まったく準備も心構えもしていなかった私は、バランスを崩した。
「あだっ」
青い空が見える。と思ったのも束の間。頭に鈍い音と衝撃が響き、耳に聞こえてきたのは爆音の反響――いや、耳鳴り。そして、幾つも重なり合った悲鳴だ。
襲撃。テロ。真っ先に浮かんだ単語に、私は焦りを感じた。
早く状況を確認しないと。
「あっつつつ……。アルネ!」
痛む頭を押さえて立ち上がる。あれだけの揺れに関わらず、アルネは同じ場所に立ち続けていた。
「……ぁ。 姫様、何か」
ぼんやり空を見上げたりして。
いつもは完璧なメイドなのに……頭を打ったのだろうか。私は打ってもなんともなかったけど。
「『何か』じゃないわよ。あんたもあの大きい音聞いたでしょ?」
「音……あ、はい。
そうですね。音が……ひ、姫様大丈夫ですか!?」
かと思いきや急に血相を変えて私に駆け寄ってくる。正気に戻ったみたいだ。
その手を私は払いのけ、
「私は大丈夫。
ほら、それより行くわよ! なんか危ない気がするの」
演説台に向かって走り出す。アルネが危険だからと制止する声も聞かずに。
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