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豪華に装飾をされたベッドを出て、私は部屋を見回した。
でかいデスクに、本が一杯詰まった本棚。そして、すぐ近くに佇むアルネ。何日も見た風景。嗅いだ匂い。
今日も部屋はいつも通り。だけど正直落ち着かない。
私がぼんやりと部屋を眺めているのが心配なのか、隣に立つアルネが口を開いた。
「姫様。どうしましたか?」
「……何でもないわ。
あ、そうだ。アルネ、今日で何日目かしら?」
「一年、ですね。ちょうど」
「そう。ありがとう」
アルネの返答を聞き、焦燥感を覚える。
一年……。もうそんなに経つのね。
けれど私につきまとう違和感は、ちっとも拭えていない。
私はまだ姫になりきれていない。いずれは国を継がなければならないのに。
「私が記憶を失ってから一年。……私は誰なのかしら」
ふと、無意識に誰に向けてでもなく、そんな台詞が口から出る。
アルネは何も答えず、私の服を着替えさせ始めた。
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