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私、ルーフル・ルーズリアは大陸一の大国、ルーズリア王国の姫だ。
不自由なく生きていると思われる私だけど、最近……いや、一年前からの悩みがある。
それは、記憶がないこと。
現在十五歳の私は一年前、全ての記憶を失った。
幸いなことに知識や常識は失っていない。だが、一年経った今でも私は『今の私』に違和感を感じている。
今の自分は自分ではない。そんな確信を、どこかで持っている。
――そう。
「……自分でも時々イタイヤツだと思うわ」
それはわかっているつもり。
着替えと身支度を終え、私は王国の広場にいる。
理由は王様である、私の父さんの演説。国の英雄である私は、拒否権なしにその場に同席という話になったのだ。
広場には大勢の人が集まっており、その身分も様々。他人には興味なさそうな、成金貴族すら集まっている。
中には魔法を全てと考える過激派、魔法教の人達の姿も見える。彼らは黒いローブ姿なので分かりやすい。
魔法教……苦手なのよね。
まあ好き嫌いはともかく、様々な人間が集まっている。みんな演説を楽しみにしているのか、いくつものざわめきが重なり、喧騒を感じられる。簡単に言うと、うるさい。
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