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「叱られたくない。叱られたくないけど、ちょっと気になって。止めようとしないの?」
「いえ全く」
これまた即答するアルネ。質問されるのを分かっていたような、考える時間もない早さである。
「らしくないわね。
堅苦しいあんたのことだから、何か言うかと思ったのに」
「先程警告はしたので、もう大丈夫かと思いまして」
「……なるほどね」
護衛はいいけど、連れ戻されるのは勘弁である。
ううむ。バレた上での脱出作戦、ね。考えてなかったわ……。なんとかなるかしら。
脱出するのはもう少し考えを纏めた方がいいわね。
結論を出し、頷く。
「よく分かったわ。
ま、アルネが私の味方になってくれることを祈ってる、とだけ言っておこうかしら」
それに対し、アルネは短い答えでシンプルに応じた。
「姫様のためになることなら、私は何でも賛成しますし協力します」
視線を微妙に逸らしながらの、優しい台詞。
何故かそれが私に向けられた言葉でない気がして、私は内心違和感を抱いた。
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