二章:ルーズリア

19/29
前へ
/400ページ
次へ
           ゆったり進む馬車が城に着く頃には、もう辺りが暗くなっていた。    馬車から出て玄関へ。そして長い廊下を歩く。魔法による灯りが城内を明るく照らしている。城の白い壁や柱が、灯りによって更に輝いているように思えた。    赤い絨毯も白に強調され、映えて見える。    もう一年も見た風景だけに見慣れたけど、今でも城は豪華だと思う。    キョロキョロしている私の行動に気付いたのか、アルネが口を開く。   「姫様。まだ慣れませんか?」   「ううん。とっくに慣れてるけど、ちょっと豪華過ぎ――ん?」    気にせず視線をあちこちに向けていると、見回りの騎士や城の職員に混ざって、見かけない人間がいることに気付いた。    私の斜め右。距離はそれほど離れていない。なんで直ぐに気付かなかったと思うほど、特徴的な人物だ。    まず顔に目が行く。アルネにも引けをとらないほどの、可愛い顔立ちをしている。    身長は低く、身体は細い。胸はぺったんこ。なんだか親近感を覚える。    これだけで美少女として注目はされそうだけど、彼女最大の特徴は服装にある。    白いシャツと赤いネクタイ、下は黒いスカート。    その上から黒いマントを羽織っており、頭には黒い……探偵が被っていそうな帽子。確か、ディアストーカーとか言ったかしら。そんな帽子を被っている。    なんか、顔の可愛らしさもあってか、黒ばかりの服装で、とても怪しい風貌となっている。    一目で『見かけない人間』だと分かるくらいだ。  
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

195人が本棚に入れています
本棚に追加