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ゆったり進む馬車が城に着く頃には、もう辺りが暗くなっていた。
馬車から出て玄関へ。そして長い廊下を歩く。魔法による灯りが城内を明るく照らしている。城の白い壁や柱が、灯りによって更に輝いているように思えた。
赤い絨毯も白に強調され、映えて見える。
もう一年も見た風景だけに見慣れたけど、今でも城は豪華だと思う。
キョロキョロしている私の行動に気付いたのか、アルネが口を開く。
「姫様。まだ慣れませんか?」
「ううん。とっくに慣れてるけど、ちょっと豪華過ぎ――ん?」
気にせず視線をあちこちに向けていると、見回りの騎士や城の職員に混ざって、見かけない人間がいることに気付いた。
私の斜め右。距離はそれほど離れていない。なんで直ぐに気付かなかったと思うほど、特徴的な人物だ。
まず顔に目が行く。アルネにも引けをとらないほどの、可愛い顔立ちをしている。
身長は低く、身体は細い。胸はぺったんこ。なんだか親近感を覚える。
これだけで美少女として注目はされそうだけど、彼女最大の特徴は服装にある。
白いシャツと赤いネクタイ、下は黒いスカート。
その上から黒いマントを羽織っており、頭には黒い……探偵が被っていそうな帽子。確か、ディアストーカーとか言ったかしら。そんな帽子を被っている。
なんか、顔の可愛らしさもあってか、黒ばかりの服装で、とても怪しい風貌となっている。
一目で『見かけない人間』だと分かるくらいだ。
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