二章:ルーズリア

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   何処かで見た気もするけど……。あれは――   「あーっ!?」    広い廊下に反響するくらいのボリュームで、いきなり声が叩きつけられる。    物思いに耽っていた最中で少々驚いたものの、叫んだ張本人が視線の先にいたので、それほどびっくりはしなかった。    探偵風の可愛らしい少女が、私を見て嬉々とした表情を浮かべている。    私と目が合った途端に、少女は嬉しそうに叫んだのだ。    英雄だった私のファンだろうか。ちょっと照れ臭い。顔が熱くなるのを感じながら、つい視線を逸らす。   「ルーフル様ー!」    タッタッタとテンポの早い、徐々に私へと近づく足音が聞こえてくる。    声も近くなっているし、多分私に近づいているのだろう。    そう思うと、余計照れ臭くなってきた。一体何を話したらいいのかしら。   「やっと会えたー!」    慌てる私の耳に入ったのは、少女の声と、踏み切るような、床を強く踏む音。   「おふっ!?」    次いで肩に受けた衝撃で、自分の口から変な声が出た。足を踏ん張り、なんとか倒れずに済む。    何事かと肩に目を向ける。すると、鼻と鼻が触れ合いそうなすぐ近くの距離に、私を見つめる少女の顔があった。    密着している少女の身体から伝わってくる体温。意味が分からない状況に混乱する。    ええと……。 今までの描写をまとめると、    探偵風の少女は私を見つけるなり、勢いよく飛び付いてきて、私を思い切り抱き締めた。    そうなるわね。  
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