二章:ルーズリア

21/29
前へ
/400ページ
次へ
   とりあえず言うべきことは……。   「姫様から離れなさい」    私が口を開くと同時に、アルネが私の隣から飛び出し、少女を引き剥がしにかかった。    流石は私のメイド、親友。私の言いたいことを代弁してくれた。    何故か表情が露骨なくらいに不機嫌そうだけど。    ぐいぐいと、アルネが少女を引っ張る。   「嫌だっ!」    しかし少女は私にくっついたまま。私ごと引っ張られないところを考えると、一応アルネは力を加減しているようだ。    ……ううむ。なんでこんなに私にくっつくのだろう?   「姫様……」    力の加減も限界なのだろう。    アルネの泣き出しそうな視線を受ける。やっぱり私自身がなんとかしないといけないようだ。    これだけ遠慮ない人間に、敬語を使う必要もない。いつもの口調で私は言う。   「ちょっとあんた、暑苦しいから止めなさい」   「あ、ごめんなさいルーフル様」  
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

195人が本棚に入れています
本棚に追加