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あっさり離れる少女。目線の高さ、その差は私と十センチ程度。近くで見ると、更に小さく見える。
大きくクリクリした目を私に向け、少女は私の言葉を待つ。
「分かってくれればいいのよ――あれ?」
もっと手こずるパターンだと思ったのだけど。
拍子抜けしつつ、思わず首を傾げる。少女の後ろ、安心するように息を吐くアルネが見えた。
「やけに素直なのね」
「うん。ルーフル様を苦しめるわけにもいかないし」
私に対し、少女は敬語を使わずにハキハキと答える。不思議と馴れ馴れしい、とは思わない。彼女の可愛らしい容姿のお陰だろうか。
「小娘。姫様には敬語を使いなさい。敬語を」
アルネは違う風に感じたようだけど。
いつの間にか私の横という定位置に着いている。
「そんなこと言っては駄目よ、アルネ。それに小娘って。あんたいつもそんな言葉使わないじゃない」
「……」
無視である。
何も答えずにアルネはプイッとそっぽを向く。
何か不快なことがあったのかしら。
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