二章:ルーズリア

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  「……閑話休題」    このままアルネに構っていても、話が進まないと感じ、私は軌道修正を入れる。   「やっと会えたとか言ってたけど、あなたは私に何か用が?」   「あ、そうそう忘れてた。 僕はこういう者でして……」    突然顔を凛とさせ、背筋を伸ばすと少女は長方形の小さな紙を丁寧に両手で持ち、こちらに差し出した。    何だろう? 少し警戒しながら、紙に書かれていることを読み上げる。   「『掲示板管理者    コンリ・コンラクン』。   ……何これ?」    書かれている意味は何となく分かるけど、これがどうしたと言うのだろうか。   「所謂、名刺というやつだけど……初めて見た?」   「ええ。名前も初めて聞いたわ」    名刺、という物らしい。ふと一度、灯りに翳すようにして見てみる。    私はマテリアルが使えるからか、『物に込められた想いが見える』という特殊な力がある。    それなりに大事にしている物なら、何かしらの色が見えるのだが。   「……?」    名刺は売られている普通の紙に、ペンで文字を書いただけの品のようだ。    想いが宿る時間もなく、簡単に作れる品物だろう。    だが、名刺には想いが込もっていた。見えるのは仄かに暖かい、ピンク色。   「あんた……」    私は呆れた表情で少女を見る。    文字を書くだけで、目に見えるほどの想いを込めるなんて。    相当なお人好しか、仕事熱心な人間なのね。  
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