二章:ルーズリア

24/29
前へ
/400ページ
次へ
  「どしたの? ルーフル様」    そんな私の気持ちや表情には気付かないようで、少女は屈託のない笑顔を浮かべている。    さっきのお人好しか云々の話……前者の方が正しそうね。この子からは何となくそんなにおいがする。    名刺をとりあえずドレスのポケットに入れ、コンリに視線を向ける。   「この名刺はあなたの職と名前を書いてるのよね? コンリ、ちゃんね。よろしく」   「うん、ルーフル様」    こくりと頷くコンリ。動作に合わせて真っ白な髪が揺れる。顔を上げると彼女は下げていたポーチから、紙の束を取り出した。よく見る普通のメモ帳だ。    鉛筆も出し、何やら意気込むように拳を握る。   「さて紹介も済んだし……。今日はルーフル様に取材をするために、ここに来たんだ」   「取材?」   「うん。 掲示板管理者って職業を見たでしょ? 僕は掲示板を管理するだけじゃなくて、記事を作成したり、掲載してるんだ」    ほぼ趣味だけど、と付け足し、コンリは苦笑する。    掲示板はいい情報源になるし、出来る限り協力したいけど、私は王族だ。そんな簡単に受けていいものなのだろうか。   「取材ね。 アルネ、大丈夫だと思う?」   「私がついているので、問題は小娘以外ありません」   「そ、そう」    やり難い。    アルネはコンリを嫌っているみたいだ。そっぽを向きながらも律義に答えるアルネが、少し可愛い。  
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

195人が本棚に入れています
本棚に追加