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「どしたの? ルーフル様」
そんな私の気持ちや表情には気付かないようで、少女は屈託のない笑顔を浮かべている。
さっきのお人好しか云々の話……前者の方が正しそうね。この子からは何となくそんなにおいがする。
名刺をとりあえずドレスのポケットに入れ、コンリに視線を向ける。
「この名刺はあなたの職と名前を書いてるのよね? コンリ、ちゃんね。よろしく」
「うん、ルーフル様」
こくりと頷くコンリ。動作に合わせて真っ白な髪が揺れる。顔を上げると彼女は下げていたポーチから、紙の束を取り出した。よく見る普通のメモ帳だ。
鉛筆も出し、何やら意気込むように拳を握る。
「さて紹介も済んだし……。今日はルーフル様に取材をするために、ここに来たんだ」
「取材?」
「うん。
掲示板管理者って職業を見たでしょ? 僕は掲示板を管理するだけじゃなくて、記事を作成したり、掲載してるんだ」
ほぼ趣味だけど、と付け足し、コンリは苦笑する。
掲示板はいい情報源になるし、出来る限り協力したいけど、私は王族だ。そんな簡単に受けていいものなのだろうか。
「取材ね。
アルネ、大丈夫だと思う?」
「私がついているので、問題は小娘以外ありません」
「そ、そう」
やり難い。
アルネはコンリを嫌っているみたいだ。そっぽを向きながらも律義に答えるアルネが、少し可愛い。
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