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コンリは悪い人ではないと思うんだけど……。
まあ、人にはそれぞれ苦手なタイプがある。たまたまアルネのそれに、コンリが当てはまったとかそんなところだろう。
「じゃあ取材を受けるわ」
アルネにはちょっと酷だけど、もう取材を受けると決めた。
少しでも人の役に立つのだ。そうと決まれば、まず――
「立ち話もアレだし、どう? 私の部屋にでも」
廊下から場所を変えないと。取材の情報が洩れたらいけないしね。
私は少し先の扉を指差す。
「――な!? 姫様それは……」
「あ、いや、折角のお誘いだけど、いいや。取材は質問を幾つかするだけだし」
二人の返事が重なるが、コンリの方が声のボリュームは高く、アルネの声は聞き取れなかった。
「ならいいわ。ここで取材しましょ。
……あと、アルネ。さっき何て言ってたの? ごめんね、聞き取れなくて」
「はいっ? い、いえっ。決して、そんなすぐ抱きつく女を部屋に、とか、私も最近遊びに行ってないのに、とか言ってませんし、思ってません!」
あたふたとやたら長い台詞を話すアルネ。相当慌てているのか、手をバタバタとさせ、首を何度も横に振っている。
「そう? 思ってないならいいけど」
そんな必死に言わなくても、アルネの言葉なら信じるのに。
私は信頼を込めた優しい表情を浮かべ、アルネを落ち着かせようとする。
……が、
「バレバレなのによく信じるよね」
「なんか複雑です……」
反響はよくなかったみたいだ。
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