195人が本棚に入れています
本棚に追加
苦笑するコンリ。アルネに同情するような視線を向ける。
「ちょっとメイドさんが可哀想だけど……取材はすぐ終わるから我慢して。僕はただのファンだし、横取りしたりもしないから」
「……?」
そう言ってコンリはウインク。
釈然としないわね。この子が何を言っているのか全く分からない。
「そうですか……。
少しあなたを誤解していました」
が、アルネは理解したようで、ほっと息を吐いた。
よく分からないけど、解決したってこと? うう……。
「さ、取材をしよう。ルーフル様、準備はいい?」
「えっ? え、ええ。いつでもいいわよ」
すぐコンリに尋ねられ、会話の意味を考える時間もない。一応頷く。
二人がもう取材に移ったってことは、そんなに対したことではないのだろう。
「……」
よく考えれば、取材されるのは初めてである。緊張を感じ、私の手が汗ばむ。戦うときは全然こんな気持ちを感じたりはしなかったのに。
そんな私の様子には気付かずに、メモ帳を見つめ、コンリが元気よく言う。
「じゃあ、まずは国を救って一周年の感想や目標でも」
「……私記憶を失っているんだけど?」
てっきり戦いについて聞かれるかと思ったが、どうやら一周年記念のインタビューらしい。
記憶を失い、まるで他人のことを質問されるような、苦痛でしかないインタビューは、しばらく続いた。
最初のコメントを投稿しよう!