二章:ルーズリア

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           五分が過ぎた。     「ふむふむなるほど。 好きな食べ物はケーキと、サンドイッチ……」   「え、ええ。ケーキはショートケーキ、サンドイッチは基本的にパンに挟んであれば何でも」    五つ目の質問、好物についての質問を答える。  この問いに需要があるのかは不明だが、まあいいだろう。記憶は関係ないし、今までの質問よりは若干気楽だ。    足がくたびれてきたけど、幾つかと言っていたし、そろそろ終わるだろう。休まず鉛筆を走らせるコンリに感心しつつ、私はベッドで休む未来に想いを馳せた。    早く眠りたい……。けど、ご飯食べてないしお風呂も入ってないから、寝るまであと二時間はかかるわよね。   「では最後の質問を……」    予想は当たったらしく、最後だとコンリが告げる。    その台詞とともに、彼女の鉛筆を持った手が止まった。うん? 何も書かないのかしら。   「コンリちゃん、どうかした?」   「――な、何でもない。ちょっとぼんやりしてただけ。えと、最後の質問するよ?」   「うん、いいわよ」    こくりと頷く。コンリは首を横にブンブンと振ると、また明るい表情を浮かべる。    目に映る景色はさっきと同じだけど、何故だろう、空気が重くなった気がする。   「ルーフル様は導きの神、ルーズリアを知ってる?」    変化した空気の中、コンリが尋ねてきたのは、意味が分からない単語についてだった。    導きの神、ルーズリア? ルーズリアって、国の名前と、ルーズリア国の王族の名前じゃなかったの?  
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