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滅多に怒ったりはしない、温厚な女の子なんだけどね。
私のメイドになった理由も、『ルーフルと一緒にいたいから』だし、記憶を失う前も仲良しだったらしいし。
友情を感じる。
「姫様、リボンが曲がってますよ。あ、髪も少々。ツインテールのリボンが……。鬱陶しそうな顔しないで下さい」
若干過保護な気もしなくはない。オカンかあんたは。
「おお、ルーフル。アルネも。おはよう」
アルネが私の身だしなみを整えていると、目の前に鎧を着た騎士が現れた。数は五人ほど。円形に陣を展開しており、その中心に声の主がいる。
少しして、その人物が騎士の間から出てきた。
ダンディという言葉がぴったり当てはまる、髭を生やした細身の男性――私の父さんだ。
名前はルカリネル・ルーズリア。ルーズリア王国の国王である。人のことは言えないが、ら行が多い人だ。
演説を行う今日もいつもと同じ赤いマントと、金の王冠。豪華だけど、不思議と嫌味はない。
それが国王の自然体。ありのままの姿のようにすら感じられた。
彼は私達を見やり、優しく微笑む。
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