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少しして、大きな歓声が聞こえてきた。演説台の影にいる私からは、広場の様子が分からない……が、父さんが演説を始めたようだ。
歓声が止み、父さんの声が辺りに響く。内容は至って普通に聞こえる。
「あれで人が集まるんだから、父さんの人望はすごいわよね」
「……あら?
姫様、ご存知ないのですか?」
私の呟きに、アルネは首を傾げた。未だに私の髪の手入れをしている。
「皆さん、ここには姫様を一目見に来たのですよ」
「は、はあ!?」
思わず声が出る。私を見に? なんで?
今日は誕生日でもない筈……。ええと、記憶がなくなって一周年記念? ――いや、それは流石にないわよね。そんなことをしたら、ただの苛めだ。
「あらら、本当にご存知ないようですね。王様は内緒にしていたのでしょうか……」
私は知らないのだが、アルネは知っているらしい。手入れを止め、私の前に回り込む。
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