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アルネは私の前に来ると、誇らしげな笑顔を浮かべ、
「本日は姫様が王国を救って一年経った、記念日でございます」
明るく言い放った。
「記念日……」
――ああ、なるほど。
通りであんな人数が集まるわけだ。納得すると同時に、私はこれからを考えて憂鬱な気分になった。
私に内緒にした父さんの判断は正解だ。記念日の話を聞いたとき、逃げたくなったから。
私はため息を一つ。
「なるほどね。よく分かったわ。……仕方ないわね」
正直、見せ物にされている感じがするけど……我慢だ。父さんの顔も立てなければ。
「いいのですか?
もしアレなら、私と駆け落ちでも」
「却下よ。一人で崖にでも駆けて落ちなさい」
アルネが涙目になった気がするが、無視。幼馴染みとはいえ、メイドを甘やかしてはいけないのだ。
というか、真面目なアルネが駆け落ちなんてする筈もない。きっと冗談だ。
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