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暗闇に独り、常夜灯の明滅が影を呼ぶ。
静寂に浸る、舗装路の残熱が靄を生む。
終幕の兆しは心の内側から覗いて、警鐘を鳴らす声は心の表層に刺さる。
群青の深まりは時の意に左右され、具象を乱す雲は誘われた風に消える。
空には星屑の装飾、辺りに満ちる虫の音。
瞳には月光の蒼色、辺りを満たす淡い灯。
開幕の歓びは既に冷め、張り詰めた空間の残滓だけが後に残る。
開演の輝きは瞬きで薄れ、次の間に偲ぶ感慨の思いが胸に湧く。
明日を待つ夢は唯一の安らぎ、今に留まる思考の境地。
狭間で揺らめく一層の渇望、果てる時は遥か悠久の先。
足を止めて零した言葉は、一筋の涙と共に地へ落ちた。
まるでそれを知るかのように、深く立ち込めていた靄が晴れていた。
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