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・・・今回の作戦は実は至ってシンプルだ。・・・作戦と言うよりは、一種の賭けなんだがな・・・・・・
・・・これはいわゆる誘導作戦。敵に押していると思い込ませ、その上で後退することで、いよいよ敵は調子に乗って深追いしてくる。
古来の戦では、同じような戦法を用いて、敵軍を狭い道などに誘い込み、そこに伏せておいた伏兵に背後、又は側面を突かせ、更に囮部隊も引き返して伏兵と共に挟撃、敵を壊滅させたという例がいくつも記録に残っている。
本当に単純な仕組みだが、上手くいけば先に言ったよう、敵に大打撃を与えることができる。
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「・・・よし、ベン。C4の起爆装置を用意しろ。」
「了解。・・・完了しました。いつでもやれます。」
「了解した。合図したらやれ。」
そして次に、左右で敵に攻撃している味方に指示を出す。
「射撃中止だ!!繰り返す、射撃中止!!」
すぐに塹壕側の銃声が消える。
こちら側の攻撃が止んだので、敵は更に突撃してくる。
・・・よし、それでいい・・・さあ、こっちに来い・・・
塹壕内に針積めた空気が漂う。
そして敵の先頭が、俺達が作った火薬のラインを飛び越えた。
「スタンバイ・・・」
まだだ・・・ギリギリまで引き付ける・・・。
「スタンバイ・・・」
そして20人ほどの敵がラインを飛び
越えた。
「今だベン!!C4起爆!!!!」
「了解、C4起爆!!!!」
ベンが勢い良くC4の起爆スイッチを押し、その瞬間・・・
横一線に敷かれた火薬とC4が大爆発を起こし、ちょうどラインを通りかけた敵は爆発に巻き込まれ、突撃してきた敵は退路を遮断され、敵部隊は混乱状態になった。
「よし、今だ!!一斉射撃開始!!手前の敵をぶちのめしてやれ!!」
その声を合図に、塹壕に隠れていた味方が一斉に身を乗り出し、ライフルと軽機関銃で攻撃を始めた。
退路を断たれた敵兵は、瞬く間に全滅した。
高々と火柱が一直線上に昇り、それより向こう側の様子は伺えないが、とりあえず作戦は成功だ。
塹壕内の兵士達もおもしろいようにことが上手く進んだので歓声を上げている。
「やりましたね、軍曹。」
「ああ、今回はお前のその冴える頭と勇敢に戦った兵士達の手柄だ。」
「・・・ありがとうございます。」
「安心するのはまだ早いぞ。回収地点に行き、他の部隊の撤退を援護しなきゃならん。」
「はい!!」
「よし、みんな良くやった!!!回収地点へ行って他の部隊を援護しに行く!!絶対に生きて脱出するぞ!!」
「「イエッサー!!!!」」
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