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結局なんともあっさりとした結論を出したマックォードだが、本人はそうとも思わずインカムに向かって叫び出した。
決して彼が無能なわけではない。
切羽詰まった状況に置かれた今、無駄な対抗措置を避けるのも立派な戦術である。
「各員に告ぐ!!全員、これより改めて回収地点まで退却する!!お前ら、スモークグレネード(煙幕弾)は持ってるな!!」
・・・軍曹、普通に逃げる気だな。
「なんだウェイス。お前はこの場に残りたいのか?」
「あ、いえ・・・めっそうもない。戦術的撤退ですよね、わかりますよ。」
「そうか、ならいい。」
この人・・・いつから人の心を読めるようになったんだ・・・?
不意を突かれて少々動揺しているウェイスを横目に、マックォードは再びインカムに向かい叫んだ。
「いいか!!今の俺達には敵を止めきれるだけの武器がない!!俺の合図で、一斉にありったけのスモークを俺達と敵との間に投げろ!!煙が出始めたら、後は回収地点に向かってひたすら逃げるんだ!!」
「「了解!!」」
全員その気でいたのか、すぐに自分が持っているスモークグレネードを用意し始めた。
「よし、全員ピンを抜け!!」
左右からグレネードのピンを抜く音が聞こえる。
「・・・3・2・1・投げろー!!」
その声を合図に、全員一斉にスモークを投げまくった。
投げられたグレネードは、あちこちに落下し、そして次々にグレネードから大量の煙が噴射され、敵を覆い、視界を奪った。
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