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大隊長の言葉で、今回の会議は終了されようとした。
が、そこに勢い良く1人の自衛官が右手に一枚の資料を掴みながら扉を開け放ち、早足で前に立つ大隊長の元へ向かい、
そして右手に持っていた資料を大隊長に手渡した。
その時の自衛官の表情は実に険しいものだった。
・・・凶報だろうか・・・?
大隊長は何事だ、とでも言いたげな顔でその資料を受け取り、黙読し始めた。
そして読み終えたであろう時の大隊長は、会議場に乗り込んできた自衛官と同じ表情になっていた。
そして静まり返って様子を伺う俺達の方へ顔を向け、ゆっくりと口を開いた。
「みんな・・・よく聞いてほしい。
アフガニスタンからの脱出に成功した米海兵隊を輸送していた輸送ヘリ部隊と連絡が途絶えた・・・。
ついさっき・・・
東南アジア上空で攻撃を受けてやられたそうだ・・・。」
・・・なに・・・!?
大隊長からの衝撃的な報告を聞かされ、会議場が一気にざわついた。
「じゃ、じゃあ無事に脱出できた米軍は全滅したんですか!?」
話を聞いていた1人の自衛官が立ち上がり、大隊長に問いかけた。
「落ち着け!!・・・おそらく、ほとんどのアメリカ軍兵士達は無念の最期を遂げてしまったんだろう・・・。
・・・だが、攻撃を受けたヘリの内、大破を免れ東南アジアの島へ不時着したヘリも何機かいるという報告もあるそうだ。
もし、その報告が本当なら、そのヘリに乗っていた兵士達は生き残っているかもしれん。
ただ、その不時着した可能性があるヘリとも、連絡はとれないそうだ。」
大隊長は、まだ全滅と決まったわけではない。と言ってその場にいた自衛官達を落ち着かせた。
・・・確かに、上空で爆発せずに機体が陸についたのならば、生き残っている可能性は十分に考えられるが・・・おかしくないか?
「大隊長。」
俺はふと浮かんだ疑問を解消するために大隊長に問いかけた。
「なんだ?」
「撤退していた米軍とは、一切連絡がつかないとおっしゃっていましたよね?」
「ああそうだ。ペンタゴン(アメリカ国防総省)から直接送られてきた情報らしい、間違いはないだろう。」
じゃあどうして・・・
「ペンタゴンは不時着したヘリがいるという情報をどうやって入手したのでしょうか?」
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