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そう、私は見下していたのだ。
協調性のない彼女を。
友達がいない彼女を。
私を頼るしかない彼女を。
絵衣子は学校という狭い空間の中では、異物として扱われていた。
簡単に言えば浮いていたのだ。
小学校からそんな光景を目にしていた私は絵衣子をかばうことによって、
優越感を抱いていたんだと思う。
「やっぱ好きな人に殺されたい。うん。」
独り言のように呟いている彼女に、
「絵衣子・・・。もうその話はいいから」
「あ!ねえねえ、あそこ!飛行機雲だよ!」
「人の話を聴きなよ・・・。」
ため息をついて、
絵衣子が指さす空を見上げた。
雲がほとんどなくて。
空の青と、飛行機雲の少しの白。
そこに太陽の日差しがあいまって、
なんだか一枚の写真のようだった。
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