新しい制服と春。

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洋兄はあたしの手を離すと、自転車に跨った。 そして振り返り、子供みたいな笑顔で後ろの荷物置場を叩く。 「ほら、乗れよ。風が気持ちいいぞ!」 「えぇー……」 乗せてくれるのは有り難いけど、何で初日からそんな悪目立ちしなきゃいけないの。 あたしは嫌だと言ったけれど、洋兄も引かなかった。 「いいや、乗れ。俺にはお前を無事に学校に連れてく義務があるんだ」 どんな義務よ、それ。 妙に演技口調な台詞が可笑しくて、笑ってしまった。
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