気付いた恋と嘘。

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洋兄は顔を上げ、視線を合わせたり、逸らしたりを繰り返す。 洋兄が何かを迷う姿なんて、初めて見た。 「俺さ、自分がわかんないんだよ」 くしゃりと髪を掻き上げて、洋兄は膝を抱えて座り直した。 「草賀が倒れたとき、頭が真っ白になって、自分でも止められなくて、わけわかんねぇ……」 「洋兄……」 それを、あたしに言うの? なんて、言えるわけがなくて。
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