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巡さんは、何となく気付いていたと言った。
その言葉の意味が、わかった。
洋兄自身が、紗由さんへの恋を自覚してなかったんだ。
高校生活の思い出と一緒に積み重ねた時間に、あたしは勝てなかった。
あたしの恋は、もう叶わない。
なら、あたしは何をする?
せめて、洋兄と紗由さんのために、自分の気持ちは隠してしまおう。
「洋兄、紗由さんのこと好きなんじゃないの?」
「へ?」
顔を上げた洋兄があまりに間の抜けた顔をしていたから、あたしはため息を吐いた。
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