春の終わりと桜。

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それにあれから、学校で洋兄と会うのも少し嫌で。 洋兄や紗由さんと会わないと、巡さんとも顔を合わせなくなる。 「巡さん、どうかしたの?」 あたしは平静を装って友香に尋ねた。 「明日からインハイなのに、絶不調」 「え……?」 深々とため息を吐いて、友香は空いている手で髪を掻き上げる。 「苛立ってる姿こそ見せないけどさ、やっぱり雰囲気がいつもと違って。うちの学校で一番の努力家が間宮先輩だから、先輩が調子悪いと他の先輩も不安になるんだよね」 大嫌い。 あの一言が甦る。
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