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洋兄は玄関の扉を開けながら、あたしが靴を履くのを待っててくれる。
「菜々子さんはやっぱり仕事?」
「うん。お母さん、入学式行けないって悔しがってた」
靴を履きながら苦笑いを浮かべたあたしの頭を、洋兄はぽんぽんと撫でる。
「もう。子供扱いは止めてよ」
「いやぁ、ついつい。昔の癖が抜けないんだよな」
洋兄は本当のお兄ちゃんみたいに思うけど、今みたいな態度を取られると少し落ち着かない。
心が、ざわざわするの。
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