生徒会室と不良

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眩しそうに薄く開いたまぶたの奥に見えたのは、真っ黒な瞳。 逃げなきゃ。 そう、頭ではわかっている。 だけど、床に張り付いたみたいに足が動かない。 それどころか、センパイの怖いくらいに整った顔から、目を逸らすことさえできなくなってしまった。 涙ぐみながら立ちつくしている私をセンパイの瞳が捕らえた。 「お前…」 センパイは驚いたように目を大きく開くと、ゆっくりと腕を伸ばしてきた。 引き寄せられて、ぐるりと視界が反転する。 背中を何かに沈められる衝撃に驚いて、反射的に目を強く閉じた。
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