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幸い命にかかわる怪我ではなかったし、後遺症の心配もなかったけれど。
私は響の大切なものを奪ってしまったんだ。
「響は、中学の時もバスケ部の部長をしていたんですけど、うちの中学のバスケ部は、すごく強かったんです」
「……」
「特に響の代は強くて、その夏は、全国大会が確実って言われてました」
「まさか、あいつは…」
微かに眉を寄せる葵センパイに、私は小さく頷いた。
「響は事故の後、一度も練習に参加できないまま、引退することに、なっちゃったん…です」
――中学最後の夏だったのに。
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