14697人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
センパイとはじめて話したのは、私がこの高校に入学して半月たった頃だった。
同じクラスで、仲良しになった夢(ゆめ)ちゃんと、屋上でお弁当を広げていた時。
いきなり男の子が目の前に立ったんだ。
「美月 未衣(みつき みい)ちゃんだよね?」
かけられたのは、どこかで聞いた気がする声。
一度聞いたら忘れられないような、甘さを含んだ優しい声だけれど――。
どこで聞いたんだっけ。
だめだ。
思い出せないや。
最近、記憶力がやばくなってきてて困っちゃうよ。
「はい、そーですけど」
私は少し間が抜けな声を出しながら、のんびり顔を上げた。
だけどすぐに、その体勢のまま固まってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!