センパイと屋上で

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センパイとはじめて話したのは、私がこの高校に入学して半月たった頃だった。 同じクラスで、仲良しになった夢(ゆめ)ちゃんと、屋上でお弁当を広げていた時。 いきなり男の子が目の前に立ったんだ。 「美月 未衣(みつき みい)ちゃんだよね?」 かけられたのは、どこかで聞いた気がする声。 一度聞いたら忘れられないような、甘さを含んだ優しい声だけれど――。 どこで聞いたんだっけ。 だめだ。 思い出せないや。 最近、記憶力がやばくなってきてて困っちゃうよ。 「はい、そーですけど」 私は少し間が抜けな声を出しながら、のんびり顔を上げた。 だけどすぐに、その体勢のまま固まってしまう。
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