14702人が本棚に入れています
本棚に追加
ここから少し離れた場所。
廊下の壁に寄り掛かるようにして、背の高い男の子が立っていた。
ふわふわと揺れる蜜色の髪に、少し色素の薄い瞳。
日本人離れした小さな顔は、すごくキレイに整っている。
少し憂鬱そうに俯いているその人は、今さっき私と夢ちゃんが話していた王子センパイ。
――八王子 葵(はちおうじ あおい)センパイだ。
「さっきの話聞かれ…っ」
「さあな」
「な、なんでここに」
「知らねぇよ。葵が勝手について来たんだ」
「そんなあ…」
涙目になっている私を置いて、虎宇センパイはさっさと歩き出してしまう。
最初のコメントを投稿しよう!