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「だったら昔のミラの邸を探せばいいだろう。たしかそのままじゃなかったか?」
「あー……マルファス邸、今はグランツ大尉と愉快な諜報部の根城だかんなー。ミラっちの私物で役に立ちそうなもんは、みんなこっちに移されてんだよ」
「レヴル・グランツ? シャウラのお気に入りの?」
「そうそう」
言いながらがらくたを一つ一つ丁寧に退けては、すぐ脇に積み上げていく。彫刻の施された小さな卓や、細工物、壁掛けなどの他にも、今や骨董品の剣や槍、鎧などが雑多に積み上がっていった。
物置部屋などと呼ばれてはいるが、見るものが見れば宝物庫にも等しいかも知れないな、とナフードは眺めながら思った。
「なるほど。で、どうして少将殿がわざわざそんな下働きみたいな真似を?」
「罰」
「は」
返ってきた答えにきょとんとして、間抜けな声を出すナフード。苦笑したヴァプラは作業を続けながら、もう一度言い直した。
「だから、罰だってぇの。こないだウェハトの刑務所で起きた大反乱の情報取りに行ったとき、首謀者って見られてた奴の首はねちまって……」
ウェハトの刑務所と聞いて、先日の騒動を思い出す。ナフードも非番に様子を見に行ったが、あれは酷かった。まるで何かが爆発したように、一部が消し飛んでいたのだから。
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