不死の双璧

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  だが本当にそうなら、探し物程度ですむものではない。軍法会議ものの失態だ。 「間違ったのか? 女がらみか」 呆れたようにそう言うと、ヴァプラの表情がそれまでのおどけたものから一変した。何かを思い返すように、声が少し低くなる。 「まあ確かに覚えのある女はいたが、さすがに軍務に持ち込むような真似はしねぇよ。……その女が、なんで収容されてたのかはわかんねぇが。首謀者はそいつじゃないとか言っていた。後で知ったが、建物ブッ壊して脱獄したのは奴じゃねぇ」 「ほう」 「だからこの程度の罰で済んでんだよ。相手も死刑囚だったしな」 やはり、とナフードは頷く。 「……ふぅん。原因究明と、真犯人の行方は?」 「さあ。俺の管轄じゃねぇし。面は割れてっから、見つけたら半殺しでいいから生かして捕まえろって通達は来たけど。重騎には行ってねーの?」 「聞いていないな。国境の戦線だから、そろそろ来るかも知れんが」 ナフは陸軍だもんなぁ、とヴァプラが再び暢気に受け答えて、それから二人は暫しの沈黙を挟んだ。ナフードは考え込むように軽くうつむき、ヴァプラは黙々とがらくたの山を切り崩していく。  
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