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この突然の大声に小太郎はというと…
「ぬぉぉぉぉぉぉ!!耳が…耳がぁ…!!」
平九郎の突然の咆哮に気付けずに至近距離で聞いてしまった為、鼓膜に深刻な被害を受けて、自ら地面をのた打ち回る羽目になっていた…
そしてしばらく『魂が抜けた様に呆然と立ち尽くす少年と両腕で耳を塞いだ状態で地べたで悶絶している少年の2人組』という奇妙な光景が続いた後…地べたを転がり回って居た小太郎が急に跳ね起き、腰に差してある短刀に手をかけ、周囲を警戒しだした。
最初は小太郎の突然の変わり様に面食らった平九郎であったが…次の瞬間、その意図を理解し、小太郎と背中合わせになる様に立ち、獅噛を構えた。
2人の鼻に強烈な血の匂いと、人の気配を感じたのだ…
「如何に思う?」
平九郎が背後の小太郎に問い掛けた。
小太郎は涼しげな声で
「これだけの血の匂いがするならば得物はなまくら、気配と殺気の消し方もお粗末故、雑兵…否、それ以下。ただの賊でしょうな。」
辛口に切って捨てた。
「なれど…この数…多勢に無勢じゃぞ?」
平九郎は賊の数を気配からおおよその数を頭の中で弾き出した。
約100人
単純計算で平九郎達は1人あたり50人対処しなければならなかった。
「なに、大した問題ではござらんよ」
小太郎は不敵に笑って見せた。
そして唐突に…
「平九郎殿、賊の足止めは出来ますかな?」
そう訊ねて来た…
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