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このセリフを聞いた平九郎は口角を吊り上げ、吸血鬼の様に尖った犬歯を覗かせながら
「承知」
と笑いながら短く答えた。
「然らば、暫しお頼み申す。」
小太郎はそう笑い返すと、一瞬にして姿を消していた。
平九郎が注意して気配を辿ると…小太郎は頭上の木の枝へ飛び上がり、木々の枝を足場にして、高速で賊の後方へ回り込んで行ったようだ…
平九郎はそれを気配で確認した後、くるりと獅噛を一回転させる様に両手で振り切った直後…
『シュッ!!』
と空間を切り裂く様な鋭い突きを繰り出した。
「まさに我が身は『鬼』じゃな…血沸き、肉踊りよるわ…」
そう呟き、賊の方へと歩き出した…
戦国の世に、『金神の生まれ変わり』・『災厄の鬼』と生まれながら云われ、『千手の鬼九郎』と恐れられた鬼神の異世界での最初の戦いの火蓋が、まもなく切って落とされる…
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