鬼と影 ~新たな誓い~ 血濡れの槍、鬼神の覚醒

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「ああ、そうだ。力が『全て』なんだよ…。」 男達の1人がそう笑いながら話した…まるで酒に酔っている様な陶酔感を含んだ声であり、それを聞いた瞬間に平九郎の中で何かが弾け飛んだ音がした。 ヒュン………… 男達の間に限りなく無音に近い風切り音が鳴った 「ッ!?なんだ!?何の音だ!?」 男達はようやく何かを感じたのか、一拍遅れて得物を構え、腰を落とした体制で周囲を警戒した。 しかし、ここで賊の者達の中から声が上がる… 「ゴブッ…!!」 男達の先頭に立つ男が吐血し、まるで糸の切れた傀儡の様に地に倒れたのだ。 「なっ!?おい!!」 背後に居た男が慌てて倒れた男に声を掛けた…しかし、倒れた男の下から溢れ出る異常な量の血を見た時に理解してしまった… 死んでいる…と 男達はそれを確認するなり動揺し、同時に硬直した… 前方に居る少年からの尋常では無い濃度と量に呑まれたからだ。 少年は槍を袈裟懸けに振るう事で、穂先に付いた血糊を払った。 つまり先程の男は、平九郎の神速の突きによって、己すら気付けぬ間に絶命したのである。 しかし平九郎は、目の前の男を殺めた事に、眉一つ動かさずに、重い口を開いた… 「ならば…貴様等は、より強い者に喰われるが良い。」 そう重々しく告げた次の瞬間、平九郎は獰猛な笑みを浮かべたまま、賊達の中へと弾丸の如き速さで飛び込んで行った…
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